敬愛するkimura兄さんのブログにおいて、興味を惹かれる記述があったので、少し自分なりに考察してみる。


興味を惹かれたのは、戦時における文民の保護に関する千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約(第四条約)(以下、ジュネーブ条約)に関する記述である。
既にkimura氏のブログ上で否定されている事ではあるが、別の視点から日韓の場合について反駁してみたい。

もちろん、私は法律の専門家ではなく、その道の方が見れば、腹を抱えて笑い出すかも知れない事は、前もって記述しておく。


kimura氏のブログ上において扱われているのは、、戸塚悦郎氏の主張である。
始めにサンフランシスコ平和条約による戦勝国の『請求権放棄』について語り、その後ジュネーブ条約により『被害者の権利放棄』は禁止されていると論じており、氏の主張として根底にあるものは、『被害者の権利放棄』という問題であろう。


さて、日韓の国交回復に係る一連の文書について法的拘束力を持つものは、18日の日記にも書いたとおり、条約法に関するウィーン条約の31条、32条に規定される。

即ち、請求権に関連する該当文書は、日韓基本条約の関係諸協定,日韓請求権並びに経済協力協定(以下、日韓協定)、日韓請求権並びに経済協力協定,合意議事録(1)日韓請求権並びに経済協力協定,合意議事録(2)になるであろう。

さて、日韓協定の第二条一項において両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む)の財産、権利及び、利益並びに、両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、サンフランシスコ平和条約第4条(a)に規定されたものを含めて、完全かつ最終的に解決されたこととなることが確認されている。

そして、三項において、片方の国・国民が、もう一方の国・国民に請求権を主張することはできないとしているのである。

合意議事録(1)を見てみよう。

2 協定第二条に関し,
(e)同条3により執られる措置は,同条1にいう両国及びその国民の財産,権利及び利益並びに両国及びその国民の間の請求権に関する問題の解決のために執られるべきそれぞれの国の国内措置ということに意見の一致をみた。

以上の事が、何を意味するであろうか。
そう。
日韓協定においては『お互いの国・国民に請求する権利』について解決されたのであり、『被害者の権利は放棄されていない』のであり、それは、それぞれの国の国内措置により解決するのである。

つまり、慰安婦や徴用による賃金未払いの者等は、韓国政府に請求すれば良いだけなのではないだろうか?


意図的にかどうかは知らないが、最初にサンフランシスコ平和条約においての『請求権の放棄』を取り上げ、その後日韓協約についても『被害者の請求権の放棄』であるかのように論ずることによって、ミスディレクションを誘っているように思えてならないのであるが、いかがだろうか。
 



1月28日、自らの知識不足を恥じつつ補足。

1965年12月17日付けで、「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定第二条の実施に伴う大韓民国等の財産権に対する措置に関する法律」というものが公布されていました。

つまり、国内法により請求権は消滅していたのでした。

もちろんこれは日本の国内法であり、対外的、つまり大韓民国との請求権について、上記の論旨を崩すものではありませんが、補記しておきます。(恥)