吹雪もかなり落ち着いた午前9時半頃の写真

地吹雪体験ツアーとかに来るヤツの気が知れねー。
まじ、ホワイトアウトで遅刻しそうになったdreamtaleです。
ども。

なんとなく、もう終わっちゃった感も漂ってきている合邦問題。
正直、どこで打ち切れば良いか迷ってるわけですが。(笑)

今日からは27日付けの史料になだれ込みます。
まずは平安北道の状況を、1909(明治42年)12月27日付『憲機第2603号』から。


(12月20日 平安北道寧辺分遣所長報告)

日韓合邦問題に関する情況、左の如し。

一.12月16日当地維新学校に於て、同校日語教師崔利渉(一進会員)を放逐し、爾来校長韓東禹及西北学会員明以恒其他反対連、京城地方の風聞穏なるに隨ひ沈静の状態なるも、内心自己本意の趣旨を貫徹せんと同志の輩と謀り、近日中決議書を観察使に提出せんとしつつあり。
而して崔教師放逐に関しては、一進会員の如き売国奴は教員たる能はずと、同校生の賛同を得て最も卑劣なる手段を以て放逐し、尚ほ一進会の生徒は、面前に於て会員証を焼棄するに非ざれば入校せしめざる旨厳達したり。

一.普通学校長李基鉉が、生徒に対し一進会員たるもには此際脱会すべしと伝へたる件に付、一進会長郭秉璞は之れを反問したるに、自己の口外せし言に非らずとし、其後平常の如く登校教援しつつあるも、同校長は従来窃かに排日思想を有し、此頃教監不在に乗じ如此行動を敢てしたるもになり。
注意内偵中。

以上。



12月22日のエントリー及び前回で報告されていた件である。
付日の為に前後しているが、前回の史料に「本月20日報告せし」とあるとおり、今回の『12月20日 平安北道寧辺分遣所長報告』を受けて、前回の『高秘発第475号』にあるとおり関係者が呼び出され、厳重注意を受け、皆 (´・ω・`) とするわけである。
ちょっとややこしいね。

続いて、黄海道延安地方の状況に関して、1909(明治42年)12月27日付『憲機第2608号』より。


(黄海道延安分遣所長報告)

本月19日以来、米山面・通隆面・龍川面及邑内面長等、郡守荘明成・崔殷協等日々往復して密議を凝らしつつあり。
右は、一進会合邦論反対の檄文を大韓興学会より延安普通学校宛及郡守宛其他2、3の有志に宛発送し来りたるを以て、之れが衝に当る者2名を撰択し、上京せしむる計画なりと。
其他の状態は冷静なり。

以上。



えーっと、大韓興学会から檄文が郡守等に送られてきた事から密議し、これの折衝に当たる者2名を上京させる計画と。
12月23日のエントリーでも水原の郷校に布告文と一進会討伐の檄文が来てましたな。
これ、大きな動きになるのかなぁ・・・?

次は江原道鐵原の状況について。
1909(明治42年)12月27日付『憲機第2611号』より。


合邦問題に対し、耶蘇教徒200余名出京、反対演説をなさんと運動中なりとの事に関し、内査せしも其形跡なし。
然れども、本月19日、20日の両日中、反対の決議書を京城耶蘇教会長全徳基に宛て発送したる事実あり。
而して其関係者及決議書作製の方法等、左の如し。

主唱者は鐵原培英学校長兼大韓毎日申報支社長趙鍾大にして、公立普通学校教員金明済・同朴栄嘉・同学務委員崔昇・金昌胤・金喆会之を斡旋せり。
其方法は、多数集合して決議したるものにあらず。
金明済等が、金喆会・金昌胤を使嗾し、各戸に至らしめ、新日本国民に為るを不可と思はば本紙に記名捺印せよと云ひ、同時に合邦問題の内容を説き、以て無智の人民を惑はし捺印せしめたるものの如シし。
而して記名者10名集まる毎に、直に京城全徳基に送れり(全徳基は之を国民演説会長に齎せりと)。
本日迄の記名者は、約200名に達せりと。
主唱者趙鍾大は、1ケ月前上京し近頃帰邑せり。
其上京の用向は、本件発生以前上京したるものなれば本件に関係なきものの如く、全く業務上の事と察せらる。
金明済は昨年渡日せんと頻りに運動せしに、旅費不調の為め目的を達せざりしが、本年旧正月頃再び留学の為め渡日すると流言し居りたり。
其目的は、表面留学と言ふも実は趙鍾大等と通謀し、我が政府の動静視察の為めにはあらざるかと思はる。
内査中。
趙鍾大は、金明済を京城耶蘇学校に入学せしめ、卒業後直に今の公立普通学校教員に推選せしものなり。
亦、金は学務委員崔昇と結托して校費を費消せし事ありしとの由にて、親近なる間柄なるが如し。
尚内続行中。



これも12月22日のエントリー及び前回で報告されていた件であり、先の平安北道寧辺の状況同様に付日の関係で前後しているが、この報告が出された後所轄警察署で説諭され、以後決して政治問題に関係せずと宣言して調印を中止する事となる。
でも、国民演説会長のところに持っていったって、会長の閔泳韶、17日には辞めちゃったんですがねぇ・・・。(笑)

おまけで、金明済は崔昇と結托して学校の金を横領したそうだ、と。
ま、この辺はいつも通りで、特に驚く話でも無いわけですが。(笑)

次はアジ歴の史料から。
李完用の容態に関して、1909(明治42年)12月27日発電文から。 【画像】


李首相容体、左の如し。

23日手術後体温37度5、6部、脈100内外、呼吸25、6なりしが、昨午後より体温再昂38度5分に昇り、脈、呼吸には変化なし。
又、一昨日午後より時々血痰を吐く。
検鏡上肺炎菌及化膿菌を認めず、局部化膿の兆なし。
食気少しづつ進み元気も稍に生じ来りたるも、熱の昇りたる原因明かならず、検鏡中なり。



残念ながらペニシリンはまだ無いしねぇ。
この時代、大変だったろうなぁ・・・。

さて、次からは28日付けの史料に入るわけだが、このままアジ歴の史料から見ていきましょう。
大垣丈夫の行動について、1909(明治42年)12月28日付『乙秘第2891号』より。 【画像】


大垣丈夫の行動

過刻既報を経し大韓協会顧問大垣丈夫は、着京するや各方面に電話を以て吹聴したる趣にて、唯今までに同人を訪問したる重なる者は、長浦某、岡田桃風、望月小太郎等にして、同人は合邦問題に関し語て■■く、大韓協会は排日思想を鼓吹するものにあらず。
随て、合邦論に絶対に反対せず、今は其時期尚早しとの見込より一進会に賛成せざるのみ。
今回の上京は、大韓協会の真相を紹介し、尚ほ議会の形勢を視察するにありと称し、別紙韓国国情一班と大韓協会宣告書を来訪者に頒ちつつあり。

以上。



望月小太郎ねぇ・・・。
実は合邦問題ってのは、日本側の動きは政府以外の部分でもかなり複雑で、誰がどういう思惑や枠組みで動いてるのか、把握するのはかなり難しい。
内田良平等の黒龍会系、大垣丈夫、菊池謙譲、マスコミ、朝鮮問題同志会、大隈重信、安達謙蔵、そして望月小太郎。
私の手には余るので、誰か研究してくれないかなぁ。(笑)

で、この史料には文中にもあるとおり、別紙として韓国国情一班と大韓協会宣告書が付いてるわけですが、大韓協会宣告書については11月22日のエントリー中の『警秘第361号の1』別紙「時局に対する声明書」と同じ物であるため、ここでは韓国国情一班のみ見ていきましょう。 【画像1】 【画像2】


韓国国情一班

曽禰統監は一視同仁を宣言し、従来継子扱ひを受け居りたる排日派に、頗る慰安を与へて大に信頼の念を起さしめ、産業政策を執りて生活難を叫ぶ韓民に前途の希望を懐かしめ、国情益々良好に赴き不平者日に減少するの折柄、伊藤侯爵の遭難ありて母国の人々に韓国国情を誤解せしめたりと雖ども、彼挙は境外乱民の行為にして、国内官民とは何等の関係無し。
一進会、大韓協会の連合は、国民挙つて統監旗の下に自奮自励するの約に基き、其分裂したるは合邦の提議にあり。
一進会は合邦実行を主張し、大韓協会は姑らく現状を以て進行し、他日適当の時機と方式を選ぶべしと云ふに在り。
今の合邦反対運動は、現内閣員が自己の党与を使嗾し、金銭又は官職を以て陋劣なる運動を開始したるに依る。
大韓協会は、此間超然として一進会の軽挙と現政府の盲動を非難して、人心鎮撫に勉む。
左記宣言書を以て之を証すべし。
一進会は、東学党の系統天道教の一派なる侍天教と同体異名にして、当国人には頗る蔑視せらるる丈けそれ丈け極端に親日行動を為し、大韓協会は両班、儒生、外国留学者、耶蘇教、天道教の連合体にして、比較的有識者、財産家を網羅する丈け慎重の態度を以て国事を担任するを自期す。

大垣丈夫識



統監政治の安定と共に、国情が良好になっていったというのは恐らく間違いではない。
但し、国情を誤解というのはどうだろう?
現代ですら、暴動を「デモ文化」などと称する国ですしねぇ。(笑)

で、合邦問題は要するに貧乏人の集まりである一進会と、韓国政府の争いであって、有識者や財産家の多い大韓協会はそれを批難して人心鎮撫してるんだよ、と。
ん?
合邦運動って、プロレタリアートの蜂起なのか?(笑)
まぁ、目指すものが「事大」だしなぁ・・・。


って馬鹿なこと考えながら、今日はこれまで。(笑)


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