んー。
あれだけ決定的なチャンスを演出しておいて、最後の精度を欠くってのは、一番腹が立つパターンですよねぇ・・・。
まぁ、だから柳沢あたりが槍玉に挙がるんでしょうが。
つうか柳沢も、「急にボールが来たので」なんてFWにあるまじき発言してないで、「母国にテポドンがいつ落ちるかと、気が気じゃなかった」とか言えんもんかね。(笑)

ってことで、何か知らないけど、半月コースな雰囲気が漂って来た今回の連載。
雰囲気は兎も角、あと数回で一旦区切る予定の第7回目。

さて、それでは今日も史料は朝鮮民事令第11条の3回目の改正。
『公文類聚・第六十三編・昭和十四年・第百巻・司法一・裁判所・公証人・民事(民法・商法)/朝鮮民事令中ヲ改正ス・(壻養子制度創設及之ト関係スル氏ニ関スル規定)(レファレンスコード:A02030160700)』から、改正理由の続きを。

第11条第1項中「婿養子縁組の場合に於て、婚姻又は縁組が無効なるとき、又は取消されたるときに於ける縁組又は婚姻の取消」

理由
婿養子縁組は、其の性質上婚姻又は縁組が無効なるとき、又は取消されたるときに於ては、之を理由として縁組又は婚姻を取消すことを得せしめざるべからず(民法第786條、第858條)。
而して、敍上の両者の牽連性に関しては、民法の規定に依るを以て相当とするが故に、本項を加へたり。
起因する事情が別なので、それに伴って依拠する民法の条文も変わってますが、この辺、前回の「裁判上の離縁」に関する理由に似てますね。
兎も角、「婿養子縁組の場合に於て、婚姻又は縁組が無効なるとき、又は取消されたるときに於ける縁組又は婚姻の取消」も朝鮮の慣習から除く、と。
つうか、朝鮮の慣習には婿養子縁組は無かったんだっけ。(笑)

第11條第3号 氏は、戸主(法定代理人あるときは法定代理人)之を定む。

理由
既に述べたるが如く、朝鮮の家には氏なきを以て、今後民法上の「氏」の規定に依らんとすれば、必ず氏を設定せざるべからず。
而して、氏は家族制度の基本にして、所謂家督相続は家名相続を以て重要なる要素とす。
茲を以て、氏は戸主権中に包含せらるるものと解するを相当とすべく、之が設定は戸主に於て為すを妥当とすべし。
而して、戸主が未成年又は禁治産者にして戸主権を行使し得ざる場合は、法定代理人に於て之を代理行使すべきものなるを以て、法定代理人に於て氏を定むべきものなり。
本項は、敍上の趣旨を明にしたる規定なり。

氏の設定に付ては、別個の訓令に於て定むるの外何等の制限を設けざるを以て、内地人流の氏を定むることを得べし。
而して、既に久しきに亘り、朝鮮人間に内地人流の氏を称へたき希望を抱ける者尠からざる処、今次事変勃発するや、朝鮮人は皇国臣民たる自覚を新にし、期せずして半島到る処に目覚ましき愛国運動を展開し、進んで実質・形式共に完全なる皇国臣民たらんことを熱望して已まざるを以て、茲に、彼等をして形式に於ても可及的皇国臣民化し得る方途を講ずるは、朝鮮統治の根本方針たる内鮮一体の強化滲徹上喫緊の要事に属す。
内地に於ては、外国帰化人、北海道在住の土人に対してすら内地人流の氏を称することを認められたるに拘らず、内鮮一体の高唱せられ、内鮮共学制、陸軍特別志願兵制の布かれたる今日、朝鮮に於て之を称し得ざることは、寧ろ時期に於て後れたるの感あり。
仍て茲に、早急に之を称し得る途を拓く必要存する所なり。
氏を設定するとして、そこで日本風の氏に出来るという、「創氏改名」において最も重要な話。

取りあえず、朝鮮の家には氏が無いので、今後民法上の「氏」の規定に依ろうとすれば、氏の設定が必須。
前回も触れましたが、日本式の家族制度に移行するというのは、法案の提出理由上は民法への合致なんですね。
別に、「朝鮮の民族性を否定してやれ、うぇ~っはっはっは」って (・∀・)ニヤニヤ してたわけじゃない。(笑)

ま、旧来の「慣習」から日本の「法制度」に移行するわけですから、結果としてはそうなるんでしょうがね。
それを言うなら、既に連載第1回目の朝鮮民事令の策定時点で既に始まってるわけで。
それを段階的に行ってるだけですね。

で、氏は家族制度の基本であり、家督相続というのは家名相続が重要な要素であり、従って氏の設定というのは戸主権に含まれると解するのが妥当だ、と。
これは、旧民法第四編中の「第二章戸主及ヒ家族」を見てもらえば分かるとおり、戸主が家の統率者となっているのであり、そういう意味から見て、氏を新設する場合も行使する権利は戸主にあるということなんでしょうね。

氏の設定については別に訓令を定め、その他何の制限も設けないため日本人風の氏を定める事が出来る、と。
朝鮮人の間で、日本人風の氏を名乗りたいと希望する者が少なくなかったというのは、1911年の総督府令第124号「朝鮮人ノ姓名改称ニ関スル件」等からも分かりますね。

っていうか、勝手に姓名改称したら、朝鮮の慣習に従うとした朝鮮民事令に違反することになるので、禁止するのは当然なんですがねぇ。(笑)

で、形式においてもできるだけ皇国臣民化しうる方法を講じておくのは、朝鮮統治の根本方針である内鮮一体の強化のためにも大事だ、と。
で、内地では、外国帰化人やアイヌ人に対してすら日本人風の名前を名乗る事を認めているのに、内鮮一体が唱えられ、内鮮共学制、陸軍特別志願兵制が布かれた朝鮮で、それが出来ないってのは遅れてるから、早急に日本風の氏を称す事の出来る方法を講じる必要があるというのが、日本人風の氏設定に関する説明。

まぁ、理由説明上は日本人風の氏をそろそろ認めてやっても良いんじゃね?風味が漂ってるわけです。

附則第2号 朝鮮人戸主(法定代理人あるときは法定代理人)は、本令施行後6月内に新に氏を定め、之を府尹又は邑面長に届出づることを要す。

理由
本項は、氏設定に関する形式的要件、届出人及届出期間に関する規定なり。
ま、これはそのままの話なんですが、特に取り上げておくとすれば、「本令施行後6月内」ってのは、創氏改名で良く出る届け出期間6ヶ月の話の根拠となります。

附則第3項 前項の規定に依る届出を為さざるときは、本令施行の際に於ける戸主の姓を以て氏とす。
但し、一家を創立したるに非ざる女戸主なるとき、又は戸主相続人分明ならざるときは、前男戸主の姓を以て氏とす。

理由
本項は、附属第2項に対する補充的規定なり。
即ち、任意に氏を設けざる者あるときは、戸主の姓を以て氏を看做すこととしたり。
蓋し、姓は氏と其の本質を異にすと雖も、氏に近き観念は姓なりと謂わざるべからざるを以てなり。
はい、そうですね。
これが俗に言う「法定創氏」の話です。

「姓」と「氏」はその本質は別だけど、「氏」に近い考え方は「姓」だといわざるを得ないからね、と。
これによって、氏を設ける、つまり「設定創氏」をしなかった者は、自動的に姓が氏になる「法定創氏」がされて、結果「創氏」は100%行われる形となるのは、ここに来てる読者の方には説明するまでも無いですね。(笑)

っていうか、この辺の話、京都大学人文科学研究所の水野直樹氏あたりは、「朝鮮に氏制度を持ち込むために、朝鮮民事令をして家の称号としての氏を定めるようにしたが、それが法的強制であったことは、すでに金英達氏の研究によって明らかにされている。」なんて書いてるわけですが、研究するまでもなく、大元の改正法とその付則にしっかり書いてるじゃん。

馬鹿じゃね?( ´H`)y-~~


今日はこれまで。



朝鮮民事令と第11条の第1回改正
朝鮮民事令第11条の第2回改正
朝鮮民事令第11条の第3回改正(一)
朝鮮民事令第11条の第3回改正(二)
朝鮮民事令第11条の第3回改正(三)
朝鮮民事令第11条の第3回改正(四)