纏まらずに、というか、本気で調査する気が無くても溜まっていくレファレンスコード。
アジア歴史資料センターで、金のかからない読書をしていると、気になる史料があるんですが、深く調べるつもりもあまり起きず。
そんな、寝かせっぱなしな史料を放出している今週。
決して、東学党の乱の続きに戻りたくないというのでは無く。
・・・多分。
・・・恐らく。

ってことで、寝かせてあるだけあって、今日のエントリーはつまらんよ。
( ´H`)y-~~ プハー

と宣言したところで、今日は関東大震災関連について。
関東大震災で朝鮮絡みってのは、1923年(大正12年)9月1日に関東大震災が発生し、その後、流言飛語によって朝鮮人が虐殺される事件が起き、数の多寡については現在も諸説ありってヤツですな。

色々と調べるべき史料は有るわけですが、まずは、震災後に出された勅令等の流れから見ていこうか、と。
ってことで、アジア歴史資料センター『御署名原本・大正十二年・勅令第三百九十六号・非常徴発令(レファレンスコード:A03021469100)』から。
1923年(大正12年)9月2日付『勅令第396号』。

朕茲に緊急の必要ありと認め、帝国憲法第8條に依り非常徴発令を裁可し、之を公布せしむ。

大正12年9月2日
内閣総理大臣 伯爵 内田康哉
外務大臣 伯爵 内田康哉
鉄道大臣 伯爵 大木遠吉
陸軍大臣 山梨半造
司法大臣 岡野敬次郎
内務大臣 水野錬太郎
農商務大臣 荒井賢太郎
大蔵大臣 市来乙彦
文部大臣 鎌田栄吉
逓信大臣 子爵 前田利定
海軍大臣 財部彪

勅令第396号
非常徴発令

第1條
大正12年9月1日の地震に基く被害者の救済に必要なる食糧、建築材料、衛生材料、運搬具、其の他の物件又は労務は、内務大臣に於て必要と認むるときは、其の非常徴発を命ずることを得。

第2條
非常徴発は、地方長官の徴発書を以て之を行ふ。

第3條
非常徴発を命ぜられたる者、徴発の命令を拒み又は徴発物件を蔵匿したるときは、直に之を徴用することを得。

第4條
徴発物件又は労務に対する賠償は、其の地市場に於ける前3年間の平均価格に依り之を定む。
其の平均価格に依り難きものは、評価委員の評定する所に依る。

第5條
非常徴発の命令を拒み又は徴発物件を蔵匿したる者は、3年以下の禁錮又は3,000円以下の罰金に処す。
徴発し得べき物件に関し、当該官吏吏員に対し申告を拒み、又は虚偽の申告を為したる者亦同じ。

第6條
徴発物件の種類、賠償の手続、評価委員の組織、其の他本令の施行に必要なる規定は、内務大臣之を定む。

附則
本令は、公布の日より之を施行す。
国民保護法ですら物議を醸した現代日本では、成立しない法令。(笑)

内閣の顔ぶれを見ても分かるとおり、この時点で第21代の内閣総理大臣であった加藤友三郎が、関東大震災発生の8日前の1923年(大正12年)8月24日に死亡しており、外務大臣だった内田康哉が臨時に総理大臣を兼務し、他の大臣もそのままな状態。
この後、山本権兵衛内閣が9月2日に急遽発足するわけですが、関東大震災がなければ更に組閣もずれ込んだんでしょうねぇ。

帝国憲法8条については、「朝鮮国へ渡航禁止の件」でも見ましたね。

第8条
1 天皇は公共の安全を保持し、又は其の災厄を避くる為緊急の必要に由り、帝国議会閉会の場合に於て法律に代るべき勅令を発す。
2 此の勅令は、次の会期に於て帝国議会に提出すべし。若議会に於て承諾せざるときは政府は、将来に向て其の効力を失ふことを公布すべし。
です。
「緊急の必要ありと認め、帝国憲法第8条に依り」ですので、緊急勅令として出された、と。
枢密院への諮詢は多分無し。
法学的には問題ある処なのかもなぁ。

いずれにしても、この非常徴発令も含めて、勅令等の公布経緯なんかは今後見ていかないと駄目な部分ですね。
まぁ、その辺はのんびりと。

さて、事態が事態ですので、矢継ぎ早に関係する勅令が出されていきます。
続いては、『御署名原本・大正十二年・勅令第三百九十七号・臨時震災救護事務局官制(レファレンスコード:A03021469100)』から。
1923年(大正12年)9月2日付『勅令第397号』。

朕臨時震災救護事務局官制を裁可し、茲に之を公布せしむ。

大正12年9月2日
内閣総理大臣 伯爵 内田康哉
内務大臣 水野錬太郎

勅令第397号
臨時震災救護事務局官制

第1條
臨時震災救護事務局は、内閣総理大臣の管理に属し、震災被害救護に関する事務を掌る。

第2條
臨時震災救護事務局に、左の職員を置く。
総裁
副総裁
参与
委員
事務官
書記

第3條
総裁は、内閣総理大臣を以て之に充て、副総裁は内務大臣を以て之に充つ。

第4條
参与は、内務省、大蔵省、陸軍省、海軍省、逓信省、農商務省、鉄道省の次官、社会局長官、警視総監、東京府知事及東京市長を以て之に充つ。

第5條
委員及事務官は、各庁高等官及東京市助役の中より、内閣に於て之を命ず。

第6條
書記は各庁判任官の中より総裁之を命ず。

第7條
総裁は、必要に応じ地方に臨時震災救護事務局支部を置くことを得。
支部の組織は、総裁之を定む。

附則
本令は、公布の日より之を施行す。
総理大臣を総裁として、内務大臣、各省の次官、社会局長官、警視総監、東京府知事、東京市長等から成り立つ、震災救護のための組織が組織された、と。
今で言う災害対策本部の設置ですね。


つうことで、大した解説もなく、勅令の投げっぱなしな感じで、今日はここまで。(笑)