5月3日にエントリーでは、「何か見失っている気」がしてたわけですが、基本的な史料読んでくだけで、俗説に疑問符がついたり繋がったり。
面白いね。( ´H`)y-~~
さて、今日もアジア歴史資料センターから。
『公文類聚・第四十七編・大正十二年・第一巻・政綱・詔勅~雑載/鮮人ニ対スル迫害ニ関シ告諭ノ件(レファレンスコード:A01200507700)』より。
1923年(大正12年)9月5日付『内閣告諭第2号』。

今次の震災に乗じ一部不逞鮮人の妄動ありとて、鮮人に暴行を加へたる対し頗る不快の感を抱く者ありと聞く。
鮮人の所為、若し不穏に亘るに於ては、速に取締の軍隊又は警察官に通告して、其の処置に俟つべきものなるに、民衆自ら濫に鮮人■鮮人に迫害を加へ、私刑を行ふがふるが如きことは、固より日鮮同化の根本主義に背戻するのみならず、又諸外国に報ぜられて決して好ましきことに非ず。
事は、今次の唐突にして困難なる事態に際会したるに基因すと認められたるも、刻下の非常時に当り、克く平素の冷静を失はず、慎重、前後の措置を誤らず、以て我国民の節制と平和の精神とを発揮せむことは、本大臣の此際特に望む所にして、民衆各自の切に自重を求むる次第なり。
訂正箇所はそのままにしてみました。
やはり、外国の外交官や報道機関等を意識しているのか、当初案からは表現が極めてマイルドに訂正されているようで。

まぁ、不逞鮮人の妄動があると朝鮮人に暴行してるヤツが居るみたいだけど、もし不穏な行為があるなら警察か軍隊に通告して、その処置に任せるべきなのに、おめぇら勝手にリンチとかしてんじゃねぇーぞ、ゴルァ。
日鮮同化に反するだけじゃなく、外国に報じられるっつうのは好ましい事じゃねーだろ。
突然被災した事に原因があるのは分かってるけど、冷静になれや、と。

流言による朝鮮人迫害については、どんどん対策が取られているようですが、日弁連の皆さん等は何が不満なんでしょう・・・?
( ´H`)y-~~

『大正十二年九月・関東戒厳司令官命令通牒告諭(レファレンスコード:A03032035800)』の12~13ページ目から。
1923年(大正12年)9月6日付『通牒』より。

通牒
大正12年9月6日
関東戒厳司令部
警視庁御中

別紙の通命令有之候間、参考の為及通牒候也。



第4号
関東戒厳司令官命令

大正12年勅令第402号施行地域内に於ける地方検察官は、軍事に関係ある事件に就ては迅速厳正の措置を為し、之に関する必要の報告を為すべし。

大正12年9月5日
関東戒厳司令官 福田雅太郎
東京控訴院検事長 豊島直通 殿
んー、これは経緯が不明だと良く分からんままだなぁ。
ちょっとこのまま保留。

続いては、『御署名原本・大正十二年・勅令第四百三号・治安維持ノ為ニスル罰則ニ関スル件(レファレンスコード:A03021469700)』より。
1923年(大正12年)9月7日付『勅令第403号』より。

朕茲に緊急の必要ありと認め、枢密顧問の諮詢を経て、帝国憲法第8條第1項に依り、治安維持の為にする罰則に関する件を裁可し、之を公布せしむ。

大正12年9月7日
内閣総理大臣兼外務大臣 伯爵 山本権兵衛
内務大臣 子爵 後藤新平
文部大臣 岡野敬次郎
海軍大臣 財部彪
陸軍大臣 男爵 田中義一
農商務大臣 男爵 田健治郎
逓信大臣 犬養毅
司法大臣 平沼騏一郎
鉄道大臣 山之内一次
大蔵大臣 井上準之助

勅令第403号
出版、通信、其の他何等の方法を以てするを問はず、暴行、騒擾、其の他生命、身体、若は財産に危害を及ぼすべき犯罪を煽動し、安寧秩序を紊乱するの目的を持って、治安を害する事項を流布し、又は人心を惑乱するの目的を以て流言浮説を為したる者は、10年以下の懲役若は禁錮又は3,000円以下の罰金に処す。

附則
本令は、公布の日より之を施行す。
これ、たまに「虐殺など軍や政府に都合の悪い言論報道を抑圧するために使われ」とか見かけるんですが、何でそう断言できるのか、根拠が良く分からん。
普通に流言浮説の禁止だろ、と。


ってことで、関東大震災関連史料は次回で一旦休止し、以降不定期連載ってことで。
ちょいと早めだけど、今日はここまで。



関東大震災関係史料(一)
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