ここ最近、かなり長いエントリーが続いてましたが、今日は短めに。

ってことで、勅令第238号までいきましたので、次は勅令239号ですね。
アジア歴史資料センターの『御署名原本・明治四十二年・勅令第二百三十九号・統監府監獄事務取扱ニ関スル件(レファレンスコード:A03020810700)』から。
1909年(明治42年)10月16日『勅令第239号 統監府監獄事務取扱ニ関スル件』。

勅令第239号

第1条
統監府監獄に於ける事務の取扱に関しては、普通監獄に於ける例に依る。
但し、笞刑に付ては韓国法規に依る。

第2条
監獄事務に関し、司法大臣に属する職務は統監之を行ふ。

第3条
韓国法規に定めたる刑は、左の対照に依り其の刑名を刑法の刑名と看做す。

韓国法規の刑 刑法ノ刑
死刑 死刑
流刑 禁錮
懲役 懲役
禁獄 禁錮
拘留 拘留
第4条
韓国人に対する死刑は、韓国の国忌慶節日には之を執行せず。

附則
本令は、明治42年11月1日より之を施行す。
第1条がいきなり笞刑に関する部分ですね。
この「普通監獄に於ける例」ってのは、日本の1908年(明治41年)『法律第28条 監獄法』の事かな?
それに基づいて事務を行う、と。
で、笞刑については韓国法規による。

第2条は、司法大臣から統監への読み替え規定。

第3条は、韓国法規の刑名から日本の刑法の刑名へのみなし規定。
流刑と禁獄が禁錮とみなされて、他は同じ。
ま、実際流刑って言っても島流しでもありませんし、実質的には変わらないのでしょう。

最後の第4条は、韓国人の死刑は、韓国の国忌慶節日には執行しない、と。
国忌は、日本だと先帝の崩御日、国慶節は今の中国だと建国記念日なんですが、さて、朝鮮ではどうだったんでしょうねぇ。
まぁ、国家的な記念日には死刑執行しないってことで。

ということで、笞刑については韓国法規によることになったわけです。
いや、「韓国人に対しては、特別の規定がある場合を除いて韓国法規を適用」なので、当たり前っちゃ当たり前なんですが。(笑)

いや、笞刑令につなげる話としては、逆に笞刑以外の監獄事務が日本の監獄法によるという部分の方が大事なのかな?


ってことで、今日はもの凄く早めに、ここまで。



笞刑に関する整理(一) ~序~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(1)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(2)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(3)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(4)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(5)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(6)~
笞刑に関する整理(三) ~民籍法(1)~
笞刑に関する整理(三) ~民籍法(2)~
笞刑に関する整理(四) ~韓国司法及監獄事務委託~
笞刑に関する整理(五) ~統監府裁判所令~
笞刑に関する整理(六) ~韓国人ニ係ル司法ニ関スル件~