全文見るなんて言わなきゃ良かったと、いつも思うウリです。(笑)
今回は特に刑事に関する法令なので、そんな面白い部分が有るわけでもなく・・・。

ってことで、朝鮮刑事令の第2回。
前回は第10条までを見ましたので、今日は第11条からになります。
んでは早速、アジア歴史資料センターの『公文類聚・第三十六編・明治四十五年~大正元年・第十六巻・衛生・人類・獣畜、願訴、司法・裁判所~刑事/朝鮮刑事令ヲ定ム(レファレンスコード:A01200089200)』と、国会図書館の近代デジタルアーカイブから、朝鮮総督府の出した『明治四十五年行政整理顛末書』を見ながら、1912年(明治45年・大正元年)『制令第11号 朝鮮刑事令』の続きを。

第11条
検事又は司法警察官は、刑事訴訟法第144条、第146条又は第147条の場合に於て、犯所に臨検する必要なしと認むるときは、臨検を為さずして予審判事に属する処分を為すことを得。
刑事訴訟法の3つの条文の場合に、犯行現場に立ち入り検査する必要が無いと認める時は、立ち入り検査をせずに予審判事に属する処分ができる、と。

刑事訴訟法第144条は、第1項が「地方裁判所検事及び区裁判所検事は、予審判事より先に重罪又は地方裁判所の管轄に属する軽罪の現行犯あることを知りたる場合に於て、其事件急速を要するときは、予審判事を待つことなく、その旨を通知して犯所に臨検し、予審判事に属する処分を為すことを得。但、罰金又は科料及び費用賠償の言渡を為すことを得ず。」で、第2項が証人及び鑑定人の供述は、宣誓を用ゆることなく之を聴く可し。」。
第146条は、第1項が「区裁判所検事、其裁判所の管轄に属する軽罪の現行犯あることを知りたる場合に於て、其事件急速を要するときは、第144条に規定したる処分を為すことを得。」で、第2項が「若し被告人に対し勾留状を発したるときは、3日内に起訴の手続を為す可し。」。
第147条の第1項が「第144条、第146条に於て検事に許したる職務は、司法警察官も本条に之を行ふことを得。但、勾留状を発することを得ず。」で、第2項が「司法警察官は、証憑書類を添へ、速に之を管轄裁判所の検事に送致し、且被告人を逮捕したるときは共に之を送致すべし。」。

第146条も第147条も第144条の規定に従っているので、簡単に言うと、刑事訴訟法第144条第1項の「その旨を通知して犯所に臨検し」が省略できるって話。
それだけなのに、長くなった。(笑)

第12条
検事は、現行犯に非ざる事件と雖、捜査の結果急速の処分を要するものと思料するときは、公訴提起前に限り、令状を発し検証、捜索、物件差押を為し、被告人、証人を訊問し、又は鑑定を命ずることを得。
但し、罰金、科料若は費用賠償の言渡を為し、又は宣誓を為さしむることを得ず。
前項の規定に依り検事に許したる職務は、司法警察官も亦之を行ふことを得。
但し、勾留状を発することを得ず。

第13条
司法警察官前条第2項の規定に依り被告人を訊問したる後、禁錮以上の刑に該るべき者と思料するときは、14日を超えざる期間之を留置することを得。
司法警察官は、前項の留置期間内に、証憑書類及意見書と共に被告人を管轄裁判所の検事に送致すべし。
前2項の規定は、司法警察官が刑事訴訟法第147条第1項の職務を行ふ場合に之を準用す。

第14条
前2條の場合に付ては、第1条の法律中、予審に関する規定を準用す。
この辺、当時の刑法やら刑事訴訟法から勉強しなきゃ駄目っぽい、危険な香りがするので、ぶっちゃけあまり触れたくない。(笑)
基本的には、刑事訴訟法の第3章予審に係る例外規定な気がします。
第12条では、令状に関して予審判事だけでなく、検事・司法警察にも令状出す事を認める規定。
第13条は、司法警察官による留置と起訴準備に関する規定。
第14条が、第12条と第13条の場合について、予審に関する規定を準用するという規定ですね。

いや、マジでそれ以上は踏み込まない事にする。
察してくれ。(笑)

第15条
検事被告人を勾留したる場合に於て、20日内に起訴の手続を為さざるといは、之を釈放すべし。
刑事訴訟法第146条第2項の規定は、之を適用せず。

第16条
検事犯罪の捜査を終り、有罪と思料したるときは公判を求むべし。
但し、拘留又は科料に該る事件を除くの外、事件繁難なるときは予審を求むることを得。
第15条は、被告人を勾留した場合には、20日以内に起訴手続きを執らないなら釈放しろ、と。
先ほど提示した刑事訴訟法の第146条第2項は、「若し被告人に対し勾留状を発したるときは、3日内に起訴の手続を為す可し。」でしたが、それは適用しない。
起訴手続きの期限が大幅に伸びた形かな?

第16条では、検事が犯罪捜査を終わって有罪と考えた場合には、拘留や科料で済む程度の事件を除いては起訴。
事件がめんどくさい事例では、予審を求める事ができる、と。
さっきからそうなんですが、この予審制度ってのが、いまいちピンと来てないのは内緒。(笑)

第17条
裁判所又は予審判事は、必要と認むるときは司法警察官をして検証、捜索、物件差押を為さしめ、又は鑑定を命ぜしむることを得。
此の場合に於ては、第12条第1項但書の規定を準用す。

第18条
裁判所は、其の所在地外の地方法院の判事に、検証、捜索、物件差押を為し、又は鑑定を命ずることを嘱託することを得。
予審判事は、其の裁判所所在地外の地方法院の判事に、鑑定を命ずることを嘱託することを得。

第19条
受命判事又は受託判事は、検証の場合に於て必要と認むるときは、予審判事に属する処分を為すことを得。

第20条
裁判所は、急速を要すと認むるときは、公判開廷前と雖検事に通知して捜索、物件差押を為し、又は証人を訊問し、若は鑑定を命ずることを得。
此の場合に於ては、訴訟関係人の立会を要せず。
裁判所は、其の部員1名に命じ前項の処分を為さしむることを得。
各強制処分の根拠規定って感じかな。

第17条は、裁判所と予審判事についてで、必要に応じて司法警察官に検証・捜査・物件差押をさせたり、鑑定を命じる事ができる。
で、第12条1項の但し書きを準用ですので、罰金・科料・費用賠償の言渡をしたり、宣誓させることはできない、と。

第18条は、裁判所がその裁判所の所在地以外の判事に検証・捜査・物件差押をさせたり、鑑定を嘱託できる規定と、予審判事が所在地外の地方法院の判事に鑑定を命じる事を嘱託できる規定。
どういう状況を想定しているのかは、良く分かりません。(笑)

第19条では、また耳慣れない言葉が・・・。
受命判事と受託判事ってのは、今でいう受命裁判官と受託裁判官?
受命判事は、例えば9月7日のエントリーで「3人の判事を以て組織したる部」のように、複数で構成されている場合に、命令を受けてある業務を担当する判事。
受託判事は、第18条みたいに外部から嘱託された判事って理解で良いのかな?
その場合には、予審判事に属する処分が行える、と。

第20条は、裁判所は公判開始前であっても、検事に通知して捜索や物件差し押さえを行ったり、証人尋問や鑑定を命じる事ができる。
その場合には、訴訟関係人の立ち会いは不要。
裁判所は、その部員1名に命じてその処分をさせる事が出来る、と。
もしかして、「部員1名」ってのがさっきの受命判事?

つうか、刑事訴訟法とか色々見ないと、どういう意図を持って何をどう特別に規定しているのか、サッパリだなぁ・・・。( ´H`)y-~~


今日はこれまで。



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笞刑に関する整理(五) ~統監府裁判所令~
笞刑に関する整理(六) ~韓国人ニ係ル司法ニ関スル件~
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笞刑に関する整理(九) ~犯罪即決例(1)~
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笞刑に関する整理(十一) ~裁判所令改正(1)~
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