朝鮮笞刑令』、『朝鮮笞刑令施行規則』ときて、今回は笞刑の執行心得についてです。

今日もnominally氏のスレッドで挙げられていた、総督府官報を元にテキスト化したいと思います。
んでは早速。
『朝鮮総督府訓令第40号 笞刑執行心得』。

笞刑執行心得(クリックで拡大)

笞刑執行心得

第1条
笞刑は、受刑者の両手を左右に披伸し、刑盤上に莚を敷きて伏臥せしめ、両腕関節及両足に窄帯を施し、袴を脱し臀部を露出せしめて執行するものとす。

第2条
笞刑執行者は、右手に笞を携へ、之を垂下して受刑者の左側に進み、其の腕を延長して笞頭の受刑者右臀に接触すること約3寸の距離に於て位置を定め、同時に左足を約一歩後ろへ引き、其の足尖を外側に向け、左手は肘を軽く張り、拇指を背ろにして(執行者帯剣の場合は左手に剣柄を握り)之を臗骨の側方に当て、体の重みを右膝に托し、稍々前方に傾くの姿勢を為すべし。

第3条
笞の鞭下は、笞刑執行者自ら笞の裏面を頭上に接するの度に於て、上方より表面にて受刑者の右臀に対し1鞭毎に、自ら発声して笞数を算しつつ之を連行すべし。

第4条
受刑者の左臀に対し鞭を加ふるときは、第2条、第3条の方法に依り、受刑者は右側より之を行ふべし。

第5条
笞刑執行2回以上に亘るものに対しては、毎回左臀右臀の一方を交互に執行すべし。

第6条
笞刑執行1回限りの者に対しては、其の笞数を折半して左右の臀に執行すべし。
笞数を整数に折半し能はざるときは、最初に奇数を執行すべし。

第7条
受刑者、一方の臀に異状ありて執行に差支あるときは、他の一方のみを執行することを得。

第8条
笞刑は、食後1時間以上を経過して執行し、執行前成るべく大小便を為さしむべし。

第9条
打方は終始寛厳の差なく、且受刑者の皮膚を損傷せざる様注意し、引き打又は横打を為すべからず。

第10条
執行数回に亘る場合に在りては、必要に依り執行後臀部に冷却方法を施すことを得。

第11条
笞場に飲水を供へ、随時受刑者に与ふることを得。

第12条
執行中、受刑者号叫する虞あるときは、湿潤したる布片を之に噛ましむることを得。

第13条
執行猶予の為、受刑者を拘置せざるときは、其の住所を定め指定の期日に出頭すべきことを誓はしめ、成るべく相当の保証人を立てしむべし。
第1条から第6条までは、細かい執行方法について。

第1条では、まず刑盤上に莚を敷いて、両手を横に伸ばした状態でうつぶせに。
両腕関節と両足を細い帯で刑盤に縛り、ズボンを脱がせてケツを露出して執行。

第2条。
執行者は、右手に笞を持って下に垂れ下げて受刑者の左側に進み、腕を伸ばして笞頭が受刑者の右のケツに3寸くらい接触する距離で、左足を一歩引いて足先は外側に向ける。
左手は肘を軽く張って親指を後ろにして腰にという、銭湯上がりに牛乳飲むときの左手のように。(笑)
帯剣している場合であれば、剣柄を握る。
で、体重は右膝に預けてやや前傾姿勢。

細かすぎるわっ!!!
( `H´)y-~~


第3条では、笞を振り下ろす時には、笞の裏側が執行者の頭に接するような状態から、上方から笞の表面で受刑者の右のケツに。
その場合、1回毎に自分で回数を発声しながら執行。
つうか、「連行」って何だ?

続いて第4条。
第3条では右のケツに打ち下ろしてましたが、今度は左のケツの場合。
やり方は同じで、右側に立つだけ。
第5条は、笞刑の執行が2回以上、つまり30回を超える笞刑の場合には、左と右のケツに交互に執行。
第6条は、笞刑の執行が1回で終わる場合には、その笞数を半分にして左右のケツに交互に執行。
もし笞数が奇数の場合には、最初に奇数を執行。
つうことは、奇数の場合には右側のケツが1回多くなるのかな?

第7条は、どっちか一方のケツに異状があり、笞刑の執行に差し支えがあるときは、片方のケツだけに出来る。
第8条は、笞刑は食後1時間以上経ってから執行し、執行前にはなるべく大小便をさせる事。

第9条では、笞の打ち方は初めから終わりまで一定の力で行い、且つ受刑者の皮膚を損傷しないように注意し、引き打ちや横打はしてはならない、と。
引き打とか横打って、何だ?

次の第10条では、執行が数回にわたる場合、必要に応じて執行後にケツを冷やす事ができる。

第11条では、刑の執行場所に飲み水を用意し、随時受刑者に与える事ができる。

第12条は、執行中に受刑者が号叫する場合には、濡らした布を口に噛ませる事ができる。
口はみをして食いしばると、痛みへの耐性が向上しますし、舌を噛んだり歯を折ったりという事も無くなりますからね。

hitkot氏の「■笞刑 ( ´H`)y-~~ nominally 君に言い訳の奇怪(ママ)を。w」によれば、かの有名な朴慶植は、史料が読めないのかワザとなのかは知りませんが、「泣き叫ぶ声を抑えるために水を濡らした布で口を塞ぐことが指示されていた」なんて言ってるそうで。
朴慶植バカスwww

んで、最後の第13条は、何故か前回の朝鮮笞刑令施行規則の第2条と全く同じ、執行猶予で拘置しない場合の取扱について、と。
何でこの条文あるんだ?(笑)

つうか、これだけケツ、ケツ言うエントリーは、多分後にも先にも今回だけだと思う。(笑)


今日はここまで。



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